「欧米」じゃなく「日本」を思い出すことで描ける日本人のこれからとは?

「欧米」じゃなく「日本」を思い出すことで描ける日本人のこれからとは?

本のまとめ

▼読んだ本は?
■日本再興戦略 (NewsPicks Book)
■落合陽一さん
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▼日本人が囚われている「欧米」の価値観とは?
■そもそも「欧州」と「米国」は全く別の価値観や社会システムを持っており「欧米」は存在しないのに、間違った形で日本の価値観を捨て、存在しない「欧米」の価値観に身を委ねているのが日本

■欧州
└新しい物事を行う時、全員が同じ権利を「平等」に持っていることを重視する
└例えば教育を受ける場合、地域や経済格差に関係なく全員が同じ教育を受ける権利を保持していること
└努力を重ねることで最強になり、個人がどれだけ神に近づけるかという「全能性」を目指す価値観
└熱情的な感情を示す「愛」を大事にする価値観

■日本=全員が新しい物事を行う権利は持たなくてよいが、物事を行う場合、それが「公平」に行われることを重視する
└例えばセンター試験を行う場合、全員が受けられる権利はなくて良いが、受けられる人同士ではカンニングやルール違反など不公平が発生しないこと
└平等を重視しない日本人は「士農工商」という生まれつきそれぞれが持っている権利が違うことを変には思わなかった
└個人を重視するのではなく、より大きな「自然」のエコシステムとの距離感を保ちながら人がその中で暮らしていく
└静かに仲良くたたずんでいるような「きずな」を大事にする価値観

▼日本人の価値観を作っている根本の文化は?
【1】天皇制
└大化の改新以降、実際には周りの官僚が政治を行うが概念や象徴である天皇が存在する文化

【2】八百万の神
└ほとんどの地域が、イエス・キリストやブッダのように一神教となったのに対し、天皇一神にならず、たくさんの神が存在する状態が2,000年以上続く文化

【3】士農工商
└生まれたときから就く職業が決まっているという、士農工商(=カースト)が長く続いていた文化

【4】分割統治/地方自治
└徳川家康以後も地域がそれぞれ分割して統治され、北海道や沖縄では異なる言語が使われていた文化

▼過去の高度経済成長期に日本が必要だったものは?
【1】均一な教育
└トヨタの車、ソニーのテレビなど大量生産品を作るため、均質かつ管理された教育が必要だった

【2】住宅ローン
└住宅ローンにより一般家庭のお金を国側で一定程度管理し、利用できる必要があった

【3】マスメディアによる消費者の購買行動
└世論操作により、たくさんの人が同じ欲求を持ち、同じ大量生産品を買いたいと思わせる必要があった

▼日本が過去15年にイノベーションを起こせなかったのはなぜ?
【1】伝統的な日本の大企業が強すぎたから
【2】日本人の意識の中に昭和的な古い価値観が強く根付きすぎていたから
【3】価値観を伝えるメディアもそんな古い価値観を伝え続けたから

■結果的に今中国のGDPは日本の2倍、アメリカに至っては日本の4倍と離れてしまった

▼そんな日本人がこれから目指すべき道は?
■「僕個人にとって誰に投票するのがいいか?」という個人の判断ではなく、「僕の会社や学校にとって誰に投票するのがいいか?」というコミュニティの価値観に根ざした判断をしていくべき
■ただ一つのコミュニティに属することは危険を伴うため、常に複数のコミュニティに属するべき
■とはいえ今はまだ「閉鎖的な村=コミュニティ」が多いため「開かれた村=コミュニティ」をたくさん作っていくべき。そしてインターネットではそんなコミュニティを空間や時間を超えて簡単に作ることができる
■コミュニティの基盤となるものは「家族」「地域」「会社」など、どんな形を基盤にしてもいいが、孤立することを防ぐことが大事
■車を作るトヨタや電化製品を作るソニーなど一部のハードウェアを作る大企業の上に、「ソフトウェア自体を作る」「ソフトウェアをのせるプラットフォームを作る」小さな企業がたくさん生まれ、イノベーションを起こしていくべき
■百姓=100の仕事を持つ人という言葉が示すように、オンとオフを切り分けず、無理なくできることを生活の中に入れ込み複数でいろんな物事に取り組んでいく「ライフアズワーク」を行うべき
▼日本の高齢化社会と人工減少がもたらすチャンスとは?
■「高齢化社会と人工減少」が他の国より早く進むため、実験をしやすく、ビジネスとして先に成功すれば後に続く中国などへの輸出戦略となる
■人が多く余っていればAIやロボットを導入した機械化は必要悪となるが、人口減少時代では生産量を保つため機械化を進めてもハレーションを起こしにくく、未来につながる大きな発展のチャンスとなっている
▼日本がこれから発展させるべき新しい技術とは?
■バーチャルリアリティ(VR/仮想現実)
■ミックスドリアリティ(MR/現実世界と仮想世界を融合させた映像を作る複合現実)
■空間ホログラム(音や光などの波を空間中で自由に操る技術)
■自動運転技術
■3Dプリンティングによる個人化/個別化する技術
■自動翻訳技術
■5G(第5世代移動通信システム)
■ブロックチェーンに基づく仮想通貨とトークン
▼自動運転技術が変える未来は?
■体が不自由になった高齢者が自由に移動できるようになる
■移動コストが安くなることにより、郊外や田舎に住むことがリスクでなくなる
■モノの流通や物流コストが下がる
■交通事故が劇的に減少する
■運転を意識しなくなることで移動自体が自然に溶け込み、無意識に行われるようになる
■結果として自動運転車の中で「眠る」「仕事する」など、移動自体が負荷やストレスではなくなり、何かを生み出す場所になる
▼5G(第5世代移動通信システム)が変える未来は?
■現在通信を行っている4Gに比べ、通信速度は100倍、容量は1000倍になる
■1ミリ秒の遅れで情報通信が行えるようになり、結果的に遅延がほぼなくなる
■医療ロボットによる手術、自動運転などにも使われ発展を促す
■大容量データを必要とするVRなど空間転送を行えることで、会議など離れた場所とコミュニケーションを行うことにも、ストレスがなくなる
■ホロレンズをはじめ、コンタクトレンズ型のデバイスを利用した、ゴーグル型デバイスが主流になる可能性が高い
■3次元空間のリアルタイム転送ができるようになることで、VR/MR/現実との区別が段々つかなくなっていき、デジタルネイチャーと呼ばれる新たな自然観を人が持つと考えられる
■実際に手で触れるものを除けば、例えば「CGの金魚」と「現実の金魚」など視覚ベースでは仮想でも現実でもどちらでもよくなる
▼トークンエコノミーとICOが変える未来は?
■全ての物やサービスにトークン(ポイントのようなもの)を発行して価値を付与する
■トークンはその物やサービスに対し、実際に価値を感じる人の間のみで交換が行われることで小さな経済「トークンエコノミー」がたくさん生まれる
■TSUTAYAのポイントカードやANAのマイレージもトークンの一つ
■MUFGコインやみずほのJコインなどはまだポイントレベル。トークンとして成立するには、他のコインやポイントと交換できたり、実際の物の購入に利用できる必要がある
■トークンを新しく発行したい場合、ICO(イニシャル・コイン・オファリング=新規仮想通貨公開)を行う
■ICOは「ホワイトペーパー(資金調達の目的やプロジェクト計画を示したもの)」を出せば、会社だけでなく個人やプロジェクト単位で上場ができる
■欧州のエストニアは国自体がICOを行った
▼これからの時代に必要な2つの能力とは?
【1】ポートフォリオ・マネジメント
└これからほとんどの日本人は、1つの仕事だけをやるのではなく、100の仕事を行う「百姓」になっていく
└複数の職業を通じて自分で自分のポートフォリオを組みながら、稼げる仕事やコストがかかる仕事などを整理していく

【2】金融的投資能力
└「何に集中して力を入れて取り組むべきか?」を見極める能力
└まずは一つの専門性を高めた上でだが、いろんなところにいっていろんな人に会うことで、取り組むべき方向を見極められるようになる

▼これからの時代のリーダーに必要な能力とは?
■リーダー1.0
└なんでもできて、マッチョで、強いリーダー
└スティーブ・ジョブズのように「俺がかっこいい製品を作るから、意思決定もやらせろ」的なリーダー

■リーダー2.0
└全てを自分でできる必要はなく、何か一つ、ものすごく尖った能力があればいい
└弱さをさらけ出すことができ、共感性が高く、周りの人に助けてもらえる人
└「この人が地球上からいなくなってしまったら、なんだか寂しい」と思わせる人

思ったこと

「欧米」という存在しない地域に憧れをいだき、その価値観を中途半端に取り入れてしまった結果、迷走し続けている日本人に対して、もう一度自然の一部として生きてきた日本の文化を思い出し、人口減少かつ高齢化社会をチャンスととらえ、VRや自動運転、仮想通貨など新しい技術を積極的に取り入れることで「日本再興を目指そうぜ!」という強いメッセージを発している本でした。

確かに、自由で平等で愛があって個人主義という欧米「風」の価値観にとらわれているわりに、ぼくら日本人は意識の奥深くで「誰かと価値観を共有したい」「自然体でみんなと生きたい」というコミュニティへの帰属意識を強く持っている気がします。というか、ぼくがそんな価値観を持っています、たぶん。

過去15年間そうやって迷いに迷ってイノベーションを起こせず、アメリカや中国に引き離されてしまった日本をもう一度再興させるうえで、VRやMR、仮想通貨から自動運転まで新しい技術を取り入れてその波にのることで、もう一度やっぱり復活した日本を見たいですね。明日からではなく、今日からちょっとずつでも自分も動こう、と、思わせてくれるすんばらしい本でした。

ありがとうございました!

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