一杯の黒い砂糖水に恋してもらう方法は?

一杯の黒い砂糖水に恋してもらう方法は?

本のまとめ

▼読んだ本は?
■もうモノは売らない
■ ハビエル・サンチェス・ラメラスさん, 岩崎晋也さん
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▼マーケティング戦略とは?
■目的を達成するための最も効果的で効率的な方法を考え出すこと
■人々の頭の中にブランドを創造してもらうことで、製品やサービスに恋してもらうこと
■目的そのものではなく「より多くの人に」「より頻繁に」「より高く売る」ための手段にすぎない
▼マーケティング戦略におけるよくある失敗とは?
■新規顧客獲得を重視せず、既存顧客の購入頻度をあげる戦略を重視しすぎて消費者が高齢化してしまい、ブランド自体が老いる
■「コカ・コーラ=幸福感」「コカ・コーラゼロ=可能性」「ダイエット・コーク=セクシー」などサブブランド毎に異なるブランド戦略を取ってしまう
■「自社の製品が他社の製品より優れている」という性能の違いを強調し、感情ではなく理性に訴えかけてしまう
■「統計的有意差」(60%の人が商品Aを好き/40%の人が商品Bを好き)などはどちらが優れているわけではなく、ただの好みにすぎないが有意差に注力して、高いほうのみを選んでしまう
■消費者は今何がほしいかを正確に把握していないのに、消費者自身から「インサイト」を導き出そうとしてしまう
■「非ユーザー=競合他社の商品を購入しているユーザー」に注力すべきだが、既存ユーザーに多大に注力、かつ特に自社ブランドに批判的なユーザーの意向に注力してしまう
■値下げを行うことによる顧客獲得や購入頻度の増加を目指してしまう(一旦価格を下げると、元の価格で購入していたユーザーに対してそれだけの価値はなかったというメッセージを伝えてしまうことになる)
▼3つのマーケティング戦略とは?
【1】新規顧客獲得戦略
└人は毎年亡くなっていくという当たり前の事実を意識し、新規顧客を獲得するための活動のこと
└例えばソフトドリンクカテゴリーの場合、およそ80%の人が18歳までに好みのソフトドリンクを決めてしまうため、若い世代にフォーカスすることが重要
└商品カテゴリー全体のユーザー平均年齢と比較し、自社ブランド商品の購入平均年齢が高いブランドはいづれ減少に向かうため、新規顧客獲得に注力する必要がある
└ひとりの消費者が、生涯でその商品カテゴリーの中で消費する合計金額に対する営業利益を示す「正味現在価値(NPV)」を意識する

【2】既存顧客の購入頻度増加戦略
└ユーザーのブランドロイヤリティを総合的に上げることにより、単純にユーザーの購入頻度をあげる活動のこと
└「2個購入するたびに1個無料」「ボーナスパック」「値下げなどの販促活動」「顧客向けクーポン」「報酬プログラム」などの方法がある

【3】顧客維持戦略
└顧客がブランドや製品の購入をやめてしまわないために行うあらゆる活動のこと
└具体的にはブランド内におけるサブブランドでの製品展開等を行う

▼3つの脳とマーケティングが重視する脳は?
【1】反射脳
└最も原始的な脳。火に触れれば手を引っ込め、空腹になれば食べる脳の働き

【2】感情脳
└子供の命を助けるために、親が自分の命を助けるなど本能を超えて感情で判断する脳の働き
└感情脳は単純な事実よりも、上手な比喩に反応する傾向がある

【3】理性脳
└論理的な結論や、複雑な推論を行う脳の働き

■「誰と結婚するか?」「どの家や車を買うのか?」という大きな決断を人がくだすときには、理性脳ではなく感情脳が突き動かしていることがほとんどであり、マーケティングはこの感情脳に訴えかける必要がある

▼ブランドに恋するとは?
■感情脳に訴えかけることで、人がブランドに恋する状況を生み出すことができる
■人は恋したブランドに対して、より高い金額を払う
■ブランドは単なる商品名ではなく、マーケティングによってその商品に結びついた「価値」のこと
■一度ブランドに恋をしプレミアム価格で買い続けると、次第に人はその商品を買うかどうかを反射脳で判断し始める
■もちろん理性脳が巨大な人も存在しており、人がみんな同じようにブランドに恋をするわけではない
▼マーケティングで意識すべき価値と価格とは?
■価値
└特定の時間や状況において、人が製品やサービスに対して支払ってもいいと考える金額

■価格
└製造者や販売者が、製品やサービスの対価として請求する金額

■価値と価格の変動要素
└価値が損失した場合、価格をさげなければなければ販売総量を保てなくなる
└価値は状況により大きく変動する。例えばイベント内で売られるコカ・コーラやビールは価値が上がるため、価格も増加する
└価格調整とは、ビジネスを通じて獲得する総利益を最大化するためにある

▼マーケティングにおけるリサーチ方法とは?
【1】プレリサーチ
└新製品の発売前などに、インサイト調査や製品/コンセプトのテスト、広告評価などを行う調査

【2】トレンド調査
└消費者の期待に答え続けるためにトレンド(傾向)を調べるために行う調査

【3】追跡調査
└ダッシュボードや解析ツールを用いて、販売店や購入数など数値変異を調べる調査

【4】予測調査
└回帰分析等により、来月や来年の販売量、経済情勢による売上変動等を予測するための調査

▼コカ・コーラが過去に行ったマーケティングとは?
■1910年代:女性には参政権がなく1人でカフェに行くことがなかった時代に、着飾った女性がカフェでコカ・コーラを飲んでいるポスターを作成
■1930年代:大恐慌の時代に、男女がシンプルに見つめ合っているポスターを作成し、富がなくても幸せになれることを表現
■1969年:人種差別が繰り広げられている時代に、黒人と白人の若者がベンチに座り一緒にコカ・コーラが飲んでいるポスターを作成
■1970年代:宇宙船にのせることができる缶を作成し、人類の夢に挑戦する意志を示す
■最近:Choose Happiness(幸せの選択)の元、幸せは運や生まれではなく自分で選び取るものであるというキャンペーンを展開
▼マーケティング組織の作り方は?
■「工場」のようにマーケティングをプロセス化して行うことが必要

【1】暗黙の了解事項を含めて、全てのプロセスと意思決定者、タスクやその納期を含めマーケティング部門に求められていることを書き出す
【2】クオリティを落とすことなく、作業のやり直し方法やアウトプットの手法を見直す
【3】部門の組織構造や作業プロセスを見直す

▼戦略をチームに伝えるには?
【1】ブリーフを用意する
└ブリーフとは広告/パッケージング/価格/ポスターなどについて、背景や選択とその根拠、インサイト、アクションプラン、時期予算や次のステップなどを記した簡潔な文書

【2】新しいアイデアを重視する
└新しいアイデアを広く集め、アイデアに惚れ込んだときも、不採用のときにもその理由を明確に伝える。理由を伝えることで、あなたがもらえるアイデアの質があがっていく

▼良いクリエイティブとは?
■シンプル
└力強く、かつ短い言葉で簡単に説明できるシンプルな構成

■人の感情の息吹を感じる
└ストーリーの中で、情念や好奇心、自由や希望など人の感情の息吹を感じる構成

■インパクト
└人の心や記憶に刻み込まれ、強い印象を与える

■ユーモア
└自分自身(のブランド)を笑い飛ばせるような笑いがある

■親近感
└近くにあり見慣れているものだが、ほんの少し違う感じがする

■均整と対称性
└左右が対象などバランスがきっちりと取れている

▼クリエイティブの効果を見極める質問方法は?
■ダメな質問
└「あなたはこのクリエティブの製品を競合他社より頻繁に購入しますか?」など理性脳への質問を行う方法

■よい質問
「このクリエティブのストーリーは気に入りましたか?」「ブランドの価値をしっかりと伝えていますか?」など感情脳に対する質問を投げかける方法

思ったこと

P&Gからコカ・コーラへと移り、感情脳という脳みそのレベルまで戦略を分解し、差別化の難しい一杯の黒い砂糖水に対して人に恋をしてもらうには、あなたの商品をどのようにブランド化していくべきかというマーケティング戦略をまとめた本でした。

人は合理的な判断を行わず感情で判断を下してしまうからこそ、マーケティングは口に出た言葉ではなく人の心の奥深くに潜むインサイトを見つけ出して、そのインサイトをブランド価値にどのように結び付けるかを徹底して合理的に考えるという、なんだか矛盾しているようだけど、それ以外方法はないんだろうなという根幹を書いてくれていました。

たしかに、これだけ良いものを安く変える今の時代だと、自分が何かものを買おうと思ったときに「便利だから」「役に立つから」という理由だけでは、より高い価値をその商品に対して感じ、より高い価格で購入しても良いとは中々思えなかったりします。

幸福感という感情に訴えかけられて、一杯の黒い砂糖水に恋して、コンビニに入るとまっさきに反射でコカ・コーラを取ってしまうぼくは、めっちゃ見事にコカ・コーラのマーケティング戦略にハマってるわ。

ありがとうございました!

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