不要な競争から抜け出す戦略策定とは?

不要な競争から抜け出す戦略策定とは?

本のまとめ

▼読んだ本は?
〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略
ジョアン・マグレッタさん, 櫻井祐子さん, 櫻井 祐子さん
http://amzn.asia/441TjEw
▼戦略とは?
■競争に直面した企業が、好業績を継続的にもたらすために編み出す優れた手法(目標と具体的な行動、居場所等を含む)のこと

▼ビジネスにおける2つの競争手法とは?
【1】ゼロサム競争

■業界内の各企業が同じ顧客やニーズに対して同じ製品・サービスを提供しようとして行う競争のこと
■例えば「ユーザーが求めていない高機能携帯を売り続けた携帯業界」などがこの競争に陥った具体例
■別名「最高を目指す競争」と呼ばれ、皆が同じ顧客やニーズを相手にする結果、企業毎の違いが見えなくなり顧客の判断基準は価格だけとなる
■企業は価格低下等の競合企業との競争により疲弊し、顧客側も限られたニーズが満たされるだけとなるため、両者ともに不利益を被る

【2】プラスサム(戦略的)競争

■対象顧客や満たすべきニーズは無数にあるため、競合他社の価値を破壊することではなく、独自の価値提供を行うことに焦点をおいた競争
■ライバルに打ち勝ったり売上を上げることではなく、独自価値を提供し利益を拡大することに注力する

▼業界内の収益性を見定める5つの要因(ファイブフォース)とは?
【1】買い手:その業界の製品・サービスの買い手側の力はどうか?
└アメリカのセメント業界では、大手の強力な建設会社が影響力を行使して値下げ圧力を実施し収益性を圧迫
└インターネットの普及により買い手が最安値の製品を見つけられるようになったことにより、買い手の力が向上

【2】サプライヤー:その業界が製品・サービスを作る際の材料を提供するサプライヤー側の力はどうか?
└PCメーカーはOSを提供するマイクロソフトとCPUを提供するインテルの市場支配により収益性を低下
└逆にAppleは独自でOSを構築することにより、サプライヤーであるマイクロソフトの影響力を排除
└労働力もサプライヤーの一つとされ、例えば強力な労働組合が形成された業界等は、高い賃金により収益性が低下

【3】代替品:その業界の製品・サービスと同一のニーズを満たせる代替製品・サービスはあるか?
└電気自動車は現在の自動車の代替品となる可能性がある
└オンライン動画サービスはビデオレンタルの代替品となる

【4】参入障壁:新規参入者の業界への参入難易度はどうか?
└高級コーヒー小売業は新規の参入障壁が低いため、スターバックスは常に店舗やメニューの刷新を実施

【5】既存企業同士の競争:業界内の企業同士の価格・宣伝・新製品投入などの競争はどうか?
└設備が陳腐化しやすいホテル業やレストランなど飲食業などは競争が激烈化しやすい

▼ファイブフォース分析の具体例とは?
■PCメーカー業界
【1】買い手
└PCそのものの汎用化やメーカー間の共通化が進み、かつスイッチングコストが低いため買い手側の力が向上

【2】サプライヤー
└強力なサプライヤーであるマイクロソフトとインテルが、業界内の収益性を逼迫

【3】代替品
└PCの代替品となるタブレット端末やスマートフォンなどが登場

【4】参入障壁
└OS等のソフトウェアはライセンスにより提供されているため参入障壁が低く、アジアの新興メーカーから参入が増加

【5】既存企業同士の競争
└アジア新興メーカーは安い労働力を背景に、価格低下競争を激烈化

■航空業界
【1】買い手
└価格感度が高く、航空会社変更のスイッチングコストがほぼ存在しない

【2】サプライヤー
└強力な労働組合、また限られた航空機販売メーカーの影響力が大きい

【3】代替品
└短距離フライトでは、電車や車など他の移動手法が存在

【4】参入障壁
└リース機が2機もあれば航空会社をはじめられるなど参入障壁が低い

【5】既存企業同士の競争
└空席を埋めるための価格低下など競合企業間での激しい競争

▼好業績を生み出すには?
■以下により「価格」と「コスト」の差分である利益が大きくなるほど、結果として企業は好業績となる

【1】相対的価格の向上:顧客に自社の製品/サービスを提供する際に、競合他社より高い価格を要求できること
【2】相対的コストの低下:顧客に自社の製品/サービスを提供する際に、競合他社より低いコストで提供できること

▼「相対的価格の向上」「相対的コストの低下」を実現する手法は?
■顧客側の要求に目を向ける「価値提案」と、企業内部の業務活動に目をむける「バリューチェーンの最適化」の2つ

【1】価値提案
└顧客に対して製品・サービスの独自の価値提案を行い、結果その製品・サービスの他社との「差別化」が行えること

【2】バリューチェーンの最適化
└製品・サービスをより効果的・効率的に「設計、生産、販売、開発、配送、マーケティング、販売、サポート」する競合他社とは異なるバリューチェーン(最適化された一連の活動方法)を見つけること

▼価値提案を明確化する方法とは?
■以下3つの質問への答えを明確化することで、自社が提供する価値を絞り込む

【1】どの顧客を対象とするか?
■小売店「ウォルマート」
└ライバルのディスカウントストアとの競争を避けるため、人工5,000人~25,000人までの田舎町を選択し開店
■自動車保険会社「プログレッシブ」
└事故を起こして保険を請求する可能性が高いドライバーを対象顧客に選択
■証券会社「エドワード・ジョーンズ」
└保守的なスタンスを取り、信頼できるアドバイザーに投資判断を一任する顧客層を選択

【2】どんなニーズを満たすか?
■レンタカー会社「エンタープライズ・レンタカー」
└旅行客ではなく、車が故障した時や子供が帰省した時など地元でレンタカーを借りたいというニーズを満たす
■レンタカー会社「ジップカー」
└車のレンタルと返却場所や期間が柔軟、保険やガソリン代が込みの明朗な料金など複雑なニーズを満たす

【3】相対的価格はいくらか?
■携帯電話会社
└過剰に電話ニーズを満たされている顧客に対し、余分な機能を省き割安な価格を実現
■航空会社「ネットジェット」
└大手航空会社のファーストクラスに乗る代わりに、より充実したサービスを同一価格帯を実現
■航空会社「サウスウエスト」
└機内食や座席指定、乗り継ぎ客の荷物の輸送など過剰サービスをカットし、割安な価格を実現

▼バリューチェーンを最適化する方法とは?
■自動車保険会社:プログレッシブ
└事故リスク確率を正確に導く巨大なデータベースを構築し、悪質客の中でも顧客となりうる層を抽出できるように変える。例えば、過去に飲酒運転違反者だが子供を持つ人はその再犯率が低いなど

■証券会社:エドワード・ジョーンズ
└小さな町や郊外の住宅地に多くの支社を保持し、かつ新規社員の採用時には地域社会への貢献意欲を含め多額の人材投資を行う

■家具メーカー:イケア
【1】訓練された製品デザイナーによる管理された製品開発
【2】中央管理されたサプライヤーへの製造委託
【3】巨大な店舗
【4】店舗とつづきの倉庫
【5】高速道路へのアクセスがよい郊外の立地
【6】広い無料駐車場
【7】ショールームのフロアに店員を配置しない
【8】本物の部屋を模したモデルルームに商品を陳列
【9】全商品に情報(価格、サイズ、材質)を記載した大きなタグをつける
【10】組み立てずに部品化され梱包した商品
【11】店内のカフェテリア
【12】店内の託児所/遊戯室

■服飾メーカー:ZARA
【1】素早い対応が可能な豊富なデザインチーム人員を持ち、工場近くに配置
【2】自前のトラック部隊で迅速な配達を保証
【3】IT投資によりデザイン部門・製造部門の迅速なコミュニケーションを実現
【4】人通りの多い立地と多数の新作の展開により、2週間に一度在庫商品を展開
【5】大きなディスプレイ・ウインドウで多くの顧客を一気に引きつける

▼企業の業績を正確に把握する投下資本利益率(ROIC)とは?
■企業の儲けたお金(税引き後営業利益/NOPAT)を、企業が使えるお金(投下資本/IC)で割った数値のこと
■資本金や借金などすべてのお金を総動員し、企業がその何倍の儲けを出したかを示せる
■企業が経営資源をどれだけ有効に活用しているかを最も正確に把握できる企業業績の評価指標

※売上高利益率(ROS)、成長、市場シェア等は企業が投下した経営資源全体を見れておらず中途半端な指標となる

▼戦略を決める際に重要となるトレードオフの考え方とは?
■全ての価値を提供することはできないため、価値提案について一方の価値を捨て、もう他方の価値に絞り込むこと
■「何をやるか?」と同時に「何をやらないか?」を確定する
■全ての顧客の望みに答えることをやめ、一部の顧客にNoを突きつけ、結果的には不満を抱くことを受け入れること

▼トレードオフの具体的な事例とは?
■半導体製造会社:モリスチャン
└半導体設計は行わず、製造のみを行うことを明確化し半導体設計手法を盗用されるのではという半導体設計会社のニーズを満たす

■家具販売:イケア
└自由なデザインは行えないという制約を設ける代わりに組み立て式の家具とすることで、配送コストを減らし、かつ店舗内に多数の在庫を保有できる形とし、結果的に相対的価格を低下

▼戦略変更が必要になるときとは?
【1】顧客のニーズが変化したり、ニーズそのものが消滅した時
└服飾:リズ・クレイボーン:専門職の女性向けの服飾としてスタートしたが、そもそも制服の減少などニーズそのものが消滅傾向

【2】トレードオフの効力がなくなった時
└PC機器:デル:ダイレクト販売を元にパソコンの基本機能を低価格で提供していたが、ヒューレット・パッカードなどの競合は海外に設計や製造をアウトソースする事により価格を低下

【3】技術面や経営面でのブレークスルーが発生した時
└撮影機器:コダック:デジタルカメラの登場により写真用フィルムそのものが不要となる
└旅行代理店/音楽業界:情報伝達することで成り立っていた業界において、情報を伝える手法を変えたインターネット登場により、旅行情報を提供する旅行代理店はネットサービスに、CDにより音声を届ける音楽業界はオンライン配信サービス等に取って代わられつつある

思ったこと

誰でも聞いたことがある「戦略」という曖昧な言葉に関して「企業の業績を良くするためには高い価格の要求、低コストの実現という2つを実現する必要がり、それらを実現するためには企業の独自価値を提案し、企業の経済活動を最適化するしかなく、それらをまとめること」という形に定義した本でした。

他社と同じ相手やニーズに対して競争しては駄目で、あなたの会社自身がお客さんに与えられる価値をはっきりさせて、日々会社内での行う業務は全てそのために行っていこうというシンプルな考え方を指し示してくれます。そして、あなたの会社が提供できる価値と相手が決まったら、それ以外の価値はあきらめて提供できることに集中しなさいと教えてくれています。

言われてみれば辺り前のことしかいっていないんですが、携帯電話の誰も必要としない高機能化などを考えてみれば、そんな当たり前のことをずっと続けることは恐ろしく難しいんだなと痛感させられる話しでした。

もちろん、これは企業の戦略の話しをしてるのは間違いないのですが、自分個人のことを振り返っても、得意なことだけに集中すれば良いのに毎日余計で不得意なことに手を出してしまうし、1つの進むべき方向を決めきれずあっちに行ったりこっちに戻ったり、みんなに好かれていたいと思ったり、かなり回り道を繰り返しているのかなと思いました。

最終的には、得意で好きなことを自社や自分が理解して、そこに全力を尽くせ!と繰り返し書いてくれているんですが、頭で分かっていても心が理解するのはなかなかハードルが高いことなんでしょうね。

ありがとうございました!

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