人の設計図「ゲノム」が書き換える未来の形って?

人の設計図「ゲノム」が書き換える未来の形って?

本のまとめ

▼読んだ本は?
■ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか? 生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来
■高橋 祥子さん
http://amzn.asia/d/cROOBM3
▼生命科学って何?
■生命の共通の法則を解き明かし、それを活用する学問
■ゲノムを中心として、生命を分子の集まりとみなし、生命が作るストーリーを読み解くこと
▼生命の法則を見つけるってどういうこと?
【1】生命現象を再現する
└例えば、ES細胞やiPS細胞を利用して、健常な臓器や組織を作れるようになること

【2】生命現象を予測する
└例えば、がんのマーカー(指標)のように、その進行度合いを予測できるようになること

【3】生命現象を変化させる
└例えば、がんの治療自体ができるようになること

▼DNAと遺伝子って何?
■DNA
└細胞の中に含まれる物質
└2重らせん構造
└音楽であれば、CDのこと

■遺伝子
└DNAの中に記述されている情報
└「生命の設計図」ともよばれる
└音楽であれば、音楽そのもののこと

▼ヒトゲノム計画って?
■DNAの構成物質の1つである「塩基の並び=塩基配列=ゲノム」について、人のゲノムのすべてを解析した
└遺伝子が音楽なら、塩基は音符のようなもので、以下4つで書かれている
【1】A アデニン
【2】T チミン
【3】G グアニン
【4】S シトシン

■調べ終えた結果、人の塩基配列は全部わかったが、あくまで音符がわかっただけで、各配列がどんな意味を持つかは分からなかった

■でも、ヒトゲノム計画から「生命をデータとして扱う」ことができるようになった

▼ゲノムを調べるには?
■シーケンスという機械で調べる
■今では2週間で10万円ほどで調べられる
▼テクノロジーの進歩を左右する3つの要因は?
【1】技術
└テクノロジーそのものの発明
└例えば「ディープラーニング」が発明

【2】人間
└優秀な研究者が表れたり、画期的なアイデアが生まれる
└ディープラーニングを開発するディープマインド社はそれだけに専念

【3】資本
└予算を投入して、高性能な設備が整う
└ディープマインド社はGoogleが買収して多額のお金を投入

▼ゲノムワイド関連解析(GWAS)とは?
■何千人/何万人単位でゲノム解析を行い、ゲノムが人の特徴に与える影響度合いを調べる解析
■例えば、身長の高低に影響を与えるゲノムが何か、病気の可能性が高まるゲノムが何かなど、しらみつぶしに調べる
■GWASでは、例えば塩基配列が通常「ATG」となるところが、ある集団(例えば日本人)の1%以上でのみ「ACG」になっているなど違いに注目する
■このある集団の中にある塩基配列の違いのことを「スニップ」と呼ぶ
■スニップを調べることにより、体質的な特徴や、未来の病気への可能性などを、ゲノムから推測することができる
▼ゲノム解析で使うコホート研究とは?
■同一人物を何年、もしくは何十年と連続して研究/調査すること
■コホート研究をやる場合、以下4つを考えないといけない
【1】When(いつデータを取得するか?)
└例えば、いつアンケートを実施するかを決める

【2】What(どんなデータを取得するか?)
└例えば、アンケートの質問を何にするか決める

【3】Where(どこからデータを取得するか?)
└例えば、どの地域でアンケートを実施するかを決める

【4】HOw(どうやってデータを取得するか?)
└どんな方法で取得したデータを解析するかを決める

▼ポジティブ遺伝子って?
【1】病気の発生要因になる遺伝子変異を持っていても、その病気を発症しない人がいる
【2】ということは、逆に病気の発症を抑える有益な遺伝子が存在する可能性がある
【3】この「病気にならない遺伝子」を「ポジティブ遺伝子」とよんでる
【4】でも、ただその人の生活習慣が良かっただけかもしれず、ほんとにそんな遺伝子が存在するかはまだ分からない
▼ゲノム以外に重要な生体内の情報って?
【1】遺伝子は、DNA(デオキシリポ核酸)という物質が作り出す情報
【2】遺伝子そのものはただの情報で、生体内で何かしてるわけではない
【3】食べ物の消化や、血液中の成分を細胞内に取り込むなど、生命活動を直接行っているのは「タンパク質」
【4】ある細胞や組織の中にある全てのタンパク質をまとめて「プロテオーム」と呼ぶ
【5】この、タンパク質の生産量を調整するのは「RNA(リポ核酸)」
【6】ある細胞や組織の中にある全てのRNAをまとめて「トランスクリプトーム」と呼ぶ
【7】生産されたタンパク質は、代謝を通して、新たな分子「代謝物」を作ることがある
【8】ある細胞や組織の中にある全ての代謝物をまとめて「メタボローム」と呼ぶ
【9】この遺伝子とタンパク質、その前後の分子などの流れを含めた生命活動全体を「セントラルドグマ」という

■これらセントラルドグマ全体を解析していくことを「トランスオミクス」という

▼テクノロジーと社会との関係って?
【1】テクノロジーの本来の目的は、真理を追求しそのメカニズムを解明すること
【2】でも社会が興味を持つのは、テクノロジーによって自分たちの生活がどんなふうに変わるか
【3】例えばガンになるメカニズムが解明されても、社会が興味を持つのはそのメカニズムじゃなく、有効な治療法が生まれたかどうか
【4】だから、テクノロジーのスピードが早すぎて社会や「私」への影響が分からないと、人はそのテクノロジーに不安を感じる
【5】でも、反対意見が出るようなテクノロジーでなければ、社会を変えるような可能性は秘めていない
【6】最終的にそのテクノロジーが社会に受入れられるようになれば、反対意見も少なくなってく
【7】例えばドローンは、そのメリットを見越して一定の空域でのドローン利用を禁止する形とし、うまく社会に受入れられている
▼高橋さんの会社「ジーンクエスト」は何してる?
■ゲノム解析サービスを提供
■30万箇所近くのゲノム個人差を調べる
■病気の発祥率や体質に影響がある項目など300項目をサービスとして提供

思ったこと

たった4つの物質が連なることにより人の設計図となる「ゲノム」を調べることで、それぞれの人の体質や将来的に特定の病気になる可能性があるかどうかなどを調べられる、ゲノム解析を中心にまとめられた本でした。

もちろん、本の内容としてはゲノムや遺伝子のことが軸に書かれていますが、そもそもとして新しいテクノロジーを人が受け入れることの難しさ、そして特に生命科学においては、ゲノムを操作することで人自体を大きく作り変えてしまえる余地を含んでいることから、より社会との関係性が大事であることが描かれています。

たしかに、ゲノム操作により生まれる前にその子どもの能力が書き換えられたり、クローン技術を駆使してクローン人間を生み出すことなどにテクノロジーが使われることは、なんだか人を選別したりコピーしていくようにも思えて、中々、すんなり受け入れるのは難しい部分があります。

でも、どうすればそのテクノロジーをいい形で人が使っていくべきか真剣に今から考えようぜと、だって、テクノロジー自体の進歩は誰にもとめられないのだからと、新しいテクノロジーが作り出していくだろう未来を見越して今を生きようぜと強いメッセージをくれる本でした。

ありがとうございました!

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