相手との関係により、矛盾し変化する自分を受け入れる「分人」とは?

相手との関係により、矛盾し変化する自分を受け入れる「分人」とは?

一神教のもと、西欧から輸入された概念である「個人」。この個人という概念にもとづくと、人はどんなときでも同じ「ほんとうの自分」をもっていることになること。

けれど、だれもが親と話とき時、職場で話すときなどで少しことなる、矛盾をかかえた存在として、外部とコミュニケーションをとっています。

それは個人という考えにもとづくと、嘘の自分になってしまう。でも、そもそも人はたったひとつの人格で生きているんじゃなく、相手とのコミュニケーションの中で、少しずつ違う複数の「分人」をうみだすことで日々の生活を送っていること。

だから、たった一人の本当の自分にとらわれず、多様な自分を許容しつつ、それなりに楽しく生きようぜということが描かれています。

ありがとうございました!

本のまとめ

■私とは何か「個人」から「分人」へ
■平野啓一郎 (著)

▼分人ってなに?

■自分のことを「個人」という分けられない存在から、「分人」という分けられる存在として捉える
■なぜなら、唯一無二の「本当の自分」は存在しない
■対人関係ごとに見せる複数の自分が、すべて「本当の自分」である
■例えば「両親との分人」「恋人との分人」「職場での分人」「趣味仲間との分人」など
■自分はそもそも、他者との相互作用の中にしか存在しない
■「その人らしさ=個性」は、その複数の分人の構成比率により決定される
■愛とは「その人といるときの、自分の分人が好き」という感情から生まれる
■言い換えれば、相手の存在が、あなた自身を愛させてくれるということ

▼分人はどうして生まれる?

■コミュニケーションという、他者との共同作業を通して生まれる
■コミュニケーションの成功には、それ自体に喜びがあり、うれしい
■成功する喜びを味わうため、人は相手との関係の中で、分人を生み出す
■一つひとつの分人は、そんなコミュニケーションの中で生み出される、一種のパターン人格
■もしネガティブな分人が生まれたとすれば、半分は相手のせい
■反対にポジティブな分人が生まれたとすれば、それは相手のおかげ
■あなたが抱えられる分人の数によって、付き合う人の数も、自然に調整される

▼分人が生まれる順序は?

【1】社会的な分人が生まれる
└不特定多数とコミュニケーション可能な、汎用性の高い分人
└私たちが、日常生活の多くの場面で生きている状態
└近所の住人とあいさつをしたりするときに使われる

【2】グループ向けの分人が生まれる
└学校や会社、サークルといったグループ内で利用される分人
└高校生が特有の言葉を喋ったり、2チャンネルなどで特定の言葉が生まれるのも、分人化作用のひとつ

【3】特定の相手に向けた分人が生まれる
└大切なひとなど、特定の相手のみに向けた分人
└すべての人に対してこの分人が生まれるわけではなく、運や相性もある

▼個人という考え方が生まれたのはなぜ?

■一神教であるキリスト教の輸入
└ただひとつの本当の自分があり、一つの神を信仰する必要があるという考え
└このひとつの本当の自分が、個人と定義される

■論理学の輸入
└「机」と「イス」など、もうこれ以上分けられない最小単位を「個体」として識別
└もうこれ以上分けられない「個体」としての人間が「個人」と定義される
└個人を束ねる家族、家族を束ねる社会、社会を束ねる国家のように定義しやすい

▼自分を分人として考えるとなにがいい?

■人生は、複数の分人の同時進行のプロジェクト
■学校でいじめられても、サッカーチームで楽しく過ごせるのなら、その分人を軸にすればいい
■好きな分人がひとつでもあれば、そこを足場として、生きていけばいい
■自分を愛されない人間だなどと、勝手に規定する必要がなくなる

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