人がコンテンツを生み出す理由と、脳が喜ぶコンテンツとは?

人がコンテンツを生み出す理由と、脳が喜ぶコンテンツとは?

ニコニコ動画を生み出したドワンゴを起業し、ジブリに弟子入りした川上量生さん。そんな川上さんが、情報の中身であるコンテンツのこと。そして、そんなコンテンツを生み出すクリエイターに焦点を当てて書かれた本。

アリストテレスの時代までさかのぼりつつ、コンテンツの定義が描かれていること。それは「媒体」「対象」「表現」の組み合わせであること。そして、その組み合わせによって、現実を模倣したシミュレーションとして描かれるのがコンテンツであること。

そして良いコンテンツとは、リアルなコンテンツではないこと。むしろ、単純化して特徴のみを理解する「脳にやさしいコンテンツ」が、良いコンテンツとして定義されること。

そんな素晴らしいコンテンツを、自分の頭から生み出せるのは、一握りの天才と呼ばれるクリエイターのみであること。そんなクリエイターは、メディアやコンテンツフォーマットなどの制限の中で、脳に理解しやすい表現を模索し続けている人たちであることが描かれています。

自分はそんな生み出す苦しみに触れたことがなかったです。WEBの世界に関わっていると、「情報の中身」より「情報を運ぶ入れ物」にばかり目を向けていました。

ありがとうございました!

本のまとめ

▼読んだ本は?

■コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
■川上 量生 (著)

▼コンテンツとメディアって何?

■コンテンツ
└情報の「中身」のこと
└例えば、テレビの「ニュース・ドラマ・バラエティ」のこと

■メディア
└情報の中身を入れる「入れ物」のこと
└例えば、「テレビや新聞そのもの」のこと

▼クリエイターってどんな人?

■ある制限のもとで、何かを表現する人
■「ある制限」とは、メディアに紐づくコンテンツフォーマットのこと
■「コンテンツフォーマット」とは、テレビであれば映像や音声を、新聞であれば活字など表現するための手法のこと

▼アリストテレスのコンテンツの定義って?

■コンテンツは3つから形成され、3つのうちどれかが違えば別のコンテンツになる

【1】媒体
└コンテンツを運ぶ入れ物となる「メディア(媒体)」のこと

【2】対象
└コンテンツとして表現する「対象」のこと

【3】方法
└コンテンツとして表現する「方法」のこと

▼コンテンツが生まれるのはなぜ?

【1】コンテンツが生まれたのは、現実世界を模倣(シミュレーション)して「再現」するため
【2】なぜならシミュレーションによって、人は最初に何かを学ぶから
【3】言ってみれば、人が現実社会を学ぶシミュレーションとして、コンテンツは生まれる

▼2つの情報タイプって?

■主観的情報量
└人の脳が理解している情報の総量のこと
└脳は見たものをそのまま理解しているんじゃなく、理解しやすい形に情報を変換している
└例えば絵画や似顔絵は、現実の人じゃなく、人の脳の中にある情報を軸に人を描いている
└人の脳は客観的な全部の情報量じゃなく、特徴だけを取り出して理解している
└つまり、人の脳にコンテンツを理解してもらうには、特徴だけを捉えた「分かりやすさ」がとっても大事

■客観的情報量
└アニメに描かれる線の本数やコンピュータの画素数など、特定の基準で計測できる情報の総量のこと

▼アニメで描かれる主観的情報量って?

■例えば「ジブリの風立ちぬ」では、飛行機が普通より大きく描かれている
└それは、飛行機が大きくあってほしいという、人の脳が理解したい形で飛行機を描いているから

■例えば「ハウルの動く城」では、街の全景とハウルが1枚の絵の中に収まる
└それは、街の全景を入れるとハウルはもっと小さいはずだけど、脳が理解したい形に絵を描きかえているから

■例えば「もののけ姫」では、アシタカがヤックルに乗って走るとき、左右の石垣は明確に描かれるけど、上部の森はざっくり
└それは、人の脳が自分の見たいものだけを中心に、世界を理解して書き換えているから

▼人の脳の理解と似た仕組みのオートエンコーダって?

【1】入力された「パターンA」から、要素の数を減らした「パターンB」を出力する
【2】出力された「パターンB」から、再度要素の数を増やして「パターンA’」を出力する
【3】出力された「パターンA’」と、元の「パターンA」を比較して、似たパターンになるよう自己学習する
【4】この元のパターンと新しいパターンを比較して自己学習することを「オートエンコーダ」という
【5】ディープラーニングでは、このオートエンコーダを繰り返す
【6】「パターンB」から、要素の数を減らした「パターンC」を出力する
【7】「パターンC」から、要素の数を増やして、「パターンB’」を出力する
【8】出力された「パターンB’」と、元の「パターンB」を比較して、似たパターンになるよう自己学習する
【9】この結果、「パターンC」は「パターンB」の特徴を捉えたもの、「パターンB」は「パターンA」の特徴を捉えたものになる
【10】この要約した特徴だけを捉えていく流れがディープラーニング
【11】そしてこのディープラーニングは、人の脳が「情報の特徴」だけを理解しようとする仕組みと、とても近い
【12】つまりいつか、ディープラーニングがコンテンツを生み出せる可能性がある

▼クリエイターがストーリより表現にこだわるのはなぜ?

■ストーリーは表現に比べてパターン化されやすいから
■例えば昔話では、主人公と助っ人と悪役の組み合わせとか、何かを探す旅に出るとか、ストーリーはだいたい決まっている
■だから、今までにない新しいものを作りたい時、表現に集中するしかない

▼天才クリエイターってどんな人?

■天才とは、自分の頭の中にある脳のイメージを取り出して、コンテンツとして表現できる人のこと
■言い換えれば、頭の中だけで、実際にどんなものができあがるかをシミュレーションできる人
■もし天才がいない場合は、プロトタイプを何度も作って、できあがったものを確認する地道な方法が必要
■だからアメリカではいっぱいプロトタイプを作るけど、お金のない日本は天才に頼るしかない

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